ニュースリリース

平成23年4月11日
三協マテリアル株式会社

世界初 マグネシウム合金鋳造新技術
鍛造向け小径連続鋳造ビレットの製造技術を確立

 三協マテリアル株式会社は、NEDO(独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)がナショナルプロジェクト事業として実施した『マグネシウム鍛造部材技術開発プロジェクト』において、『マグネシウム合金の鍛造用ビレット調整技術開発』の研究開発を行い、その成果として、小型鍛造品向けの素材に適したマグネシウム合金小径連続鋳造ビレットの製造技術(世界初)を確立いたしました。

NEDO『マグネシウム鍛造部材技術開発プロジェクト』

・事業期間:平成18年度〜平成22年度
・研究開発の目的:
産業技術全般の基盤となる材料分野には、国際競争力のある革新的な技術の確立が求められており、実用金属として軽量、強度・剛性、リサイクル性(循環型素材)で優位性のあるマグネシウムは、特に日本の自動車・家電分野における産業競争力の拡大・強化を図る材料としての活用、さらには医療・福祉/安全・安心分野、環境・エネルギー分野等への展開が期待される。「マグネシウム鍛造部材技術開発PJ」において、マグネシウム鍛造部材の普及に寄与する技術として、高性能部材の供給と生産性向上を実現させる製造技術の研究開発を行う。

三協マテリアルの研究開発

1)テーマ:『マグネシウム合金の鍛造用ビレット調整技術開発』
2)研究開発期間:平成19年度〜平成21年度
※プロジェクトの「実用化技術開発」として平成19年度から取り組み、平成21年度に完了。
3)技術開発テーマと成果

① 微細粒径小径ビレットの連続鋳造技術の開発 《世界初》特許出願済
成果:微細・均一な結晶組織を有する鍛造用小径ビレットの連続鋳造を可能にする技術を考案・開発し、技術を確立。
・開発した新技術:断熱鋳型連続鋳造法
・細粒径小径ビレット:結晶粒径100μm未満/ビレット径φ50〜100mm
② 鍛造用素材として最適なビレット凝固組織の解明 (プロジェクト内の他テーマとの連携研究)
成果:晶出物を微細・均一分散化した凝固組織を有するビレットが鍛造加工中に発生する動的再結晶をより均一に促進、鍛造加工性の向上に寄与することを金属組織学的に解明し、明確化した。
③ 量産化を想定した連続鋳造システムの開発
成果:鍛造用小径連続鋳造ビレットの実用化に向けた量産・低コスト化技術を検討し、多面同時連続鋳造による基本的な量産技術の確立に目処をつけた。
・多面同時連続鋳造によるφ55mm×8面、鋳造長さ3.5mの鋳造を実現
4)技術開発テーマと成果
『断熱鋳型連続鋳造法による微細・均一な結晶組織の小径ビレット製造技術』《世界初》
・マグネシウム鍛造市場の現状と課題(開発テーマ)
強度や品質に優れるMg鍛造部材は、産業機器や輸送機器をはじめとした各種構造体の軽量化を図る部材として適用が期待されながらも市場はごくわずかに過ぎないのが現状です。
特に産業機器や輸送機器向けに用いられる小型鍛造部品は、鋳造ビレット(径φ150〜300mm・結晶粒径数百μm)を押出加工することで、小型鍛造に供給できる品質(組織の微細化)とサイズに塑性加工した押出棒を製造し、これを原材料に用いる製法がとられていますが、高コストな素材や生産性の課題が製品コストを押し上げる要因となっており、この市場拡大におけるネックのひとつとなっています。
三協マテリアルはこのテーマにおいて、塑性加工を伴わない鋳造方法で素材コストを下げ、同時に鍛造加工性を向上させる鋳造材の実用化技術の開発に取り組み、鍛造に直接供給できるMg合金小径ビレット(ビレット径φ50〜100mmを想定)の連続鋳造を可能にする技術を考案・開発しました。この製法はMgビレットの製造分野において世界初となる技術であり、新しいMgビレットの連続鋳造法として特許を出願しております。

【断熱鋳型連続鋳造法】

 型を断熱構造とすることで鋳型内の溶湯を極力凝固させずに、鋳型下端より噴出される冷却水のみで急冷凝固させる。これにより、従来のビレット組織に比べ格段に微細・均一な凝固組織を実現した。(結晶粒度:最小で50μm/デンドライトアーム間隔:15μm以下:両値ともに当社従来比の1/2以下)
また微細・均一な結晶組織は、鍛造加工時の割れを抑制し、成形性を向上させる効果もあり、本プロジェクト内での具体的な鍛造部材試作においても、鍛造用素材として十分使用可能であることを実証している。

・断熱鋳型連続鋳造法〔概略〕
鋳型を断熱構造とし、鋳型下端からの直接水冷のみで連続的に鋳塊を形成する。
鋳型内での溶湯の凝固を極力抑制させ、急冷することで、微細で均一な凝固組織が得られる。

 

断熱鋳型連続鋳造法により製造されるビレット(一例)

・ミクロ組織

断熱鋳型連続鋳造法により、微細・均一な結晶組織を形成
【写真:AZ91合金、ビレット径φ76mm、結晶粒度79μm/デンドライトアーム間隔13μm】
・外観

鋳型下端より噴出される冷却水のみで凝固させるため、鋳肌は極めて平滑である。
【写真:AZX911合金、ビレット径φ76mm】

 

・実用化に向けた取り組み
三協マテリアルは、新技術による鍛造用小径ビレットのサンプル供給を始めており、量産化に適応できる生産技術の構築とあわせて、マグネシウム鍛造部材の普及に寄与する実用化の推進に取り組んでいます。
特に、軽量化が要求される鍛造部材分野への適用に向けた提案と用途開発を推進しており、あわせて、量産化に対応できる技術として、製造コストの低減を実現し得る多面同時連続鋳造技術の開発に着手し、従来の量産ビレットと同等レベルの素材コストの実現に向けた各種生産技術の構築を進めています。

 

5)研究開発における助成について
 三協マテリアルの研究課題は、NEDOの助成事業として実施いたしました。
当社の取り組みテーマは、当プロジェクトにおける実用化技術開発(研究事業費の50%助成を受ける事業)として、当該期間(平成19年度〜平成21年度)に実施致しました。

ニュースリリースに記載されている情報は、発表日現在のものです。

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